この本をあの人に読ませたい!と勧める前に理解しておくべきこと
いい本に出会ったとき、この本を誰かに読んで欲しいと感じたことはありませんか?
主にビジネス書を読んでいて、それまで抽象的に捉えていた概念が明確に言語化されている書籍を見つけると「これは○○さんにぴったりの本だ!」と誰かの顔が浮かぶことってありますよね。
でもいきなり「この本読んでみて」と渡すのも何か違う気がする。
かといって「ぜひ買ってみて」と勧めても期待できそうにない。
この記事では、そうした良書を誰かに伝えるということについて私が考えたことをまとめています。
ネガティブな感情が伝わってしまう問題
職場の上司、部下、同僚、家族、友人、恋人。
日頃から何かを改善してほしいと感じている相手には、つい本を勧めたくなることがあると思います。
ところがある本を勧めるとき、そのタイトルによってはその人に対して持っていたネガティブな感情まで伝わってしまう問題があります。
「感情的にならない本」
「行動できない人の心理学」
「なぜか嫌われる人の話し方」
もしあなたがこのようなタイトルの本を勧められたらどう感じるでしょうか?
「私ってそんなに感情的になってる?」
「私が行動できない人ってこと?」
「私は人から嫌われていると言いたいの?」
実際の意図とは関係なく、そういうメッセージが伝わってしまうかもしれませんね。
上司から部下、または親から子へ、という関係なら大きな問題にはならないかもしれませんが、同僚や友人のように横並びの関係、ましてや上の立場の人に対してはそのようなメッセージが伝わってしまうことは絶対に避けなければなりません。
また、勧めたい本がボリュームのあるものだと相手に負担を強いることにもなりますし、そもそも読書の習慣がない人が相手だとそのハードルはさらに高くなるでしょう。
本に代弁してもらうことは難しい
本を勧めたいと思う側には「私にはうまく伝えられないけどこの本には分かりやすくまとめられているから、読んで私の伝えたいことを理解してね」という気持ちがあります。
この本を読むことは間違いなく相手のためになるのだからと思うかもしれませんが、その主張はあくまでこちらの都合です。
時間と労力を割くことを求めるのは相手に負担を強いることになります。
伝えるには努力が必要
本の内容を理解してほしいと強く願うのであれば、まずは自分がその本をとことん読み込んで完璧に理解する必要があります。本が手元になくてもすらすらと説明できるようになるまで何度も読み返すことです。
自分がその本を熟読して納得に至ったように、あなたの話を聞くことが読書体験となり、同じプロセスを経験してもらうのです。
もちろんそれには相当の労力が必要です。
その大変さを丸投げして相手が勝手に理解する努力をしてくれるはずがありません。
つまり、本の内容を伝えるということはそれだけ自分の努力が必要だと覚悟してください。
本を理解することは自分の成長につながる
本を徹底的に読み込んできっちり伝えられたとしても、価値観が違えば最終的に相手に響かないこともあります。
もしそうなったとしても、1冊の本を完全に理解するまでの努力は決してムダにはなりません。
その本に書かれた一通りのロジックを理解する過程で、自分の中にひとつの論理がしっかりと体系立てられ、それは自分の行動規範になります。
こういう場面ではこのような理由でこう行動すべき、と明確に言語化できることは大きな武器です。
自分の思いを人に伝えるということは一朝一夕に身につくものではありませんが、読んだ本の内容を誰かに説明することで「伝える技術」を練習することができるのです。
本を理解することは、自分の成長にもつながります。
いい本に出会ったときは自分の中で消化するだけでなく、アウトプットすることを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
-
前の記事
面白い記事を書きたければ、人と向き合う覚悟をしよう 2020.03.20
-
次の記事
【ラン読】オーディオブックでジョギング読書|誰も選ばない選択肢の意味『予想通りに不合理』① 2020.03.26