【書評】自分の記事がつまらないので『読みたいことを、書けばいい』を読んでみた
ブログの記事が面白いかどうかは読者が決めることですが、せめて書いている本人くらいはそれなりに楽しみながら書きたいものです。
ところが最近は面白い記事が書けないだけでなく書いていても楽しくない。
別にアクセスが伸びないとかはどうでもいいんです。
単純に、自分で書いているものが何かに書かされている感じで面白くない。
そこで書店でふと目に留まったのがこの本。
でも具体的に自分が「読みたいこと」って何でしょう。
何となく分かっているようでも言語化しようとするとまったくできない。
でもなんとなく、読みたいことを書けばいい、気がする。
とりあえず行き詰った現状から抜け出すきっかけになるかもしれないと思い、この本を手に取ってみました。
もしあなたが自分の記事を面白くないと感じていたら、参考にしてみてください。
ネットで読まれている文章の9割は「随筆」
僕が最初にこの表現を目にしたときにとてもしっくり来たように、多くのブロガーがイメージする面白い記事とは「随筆」ではないでしょうか。
随筆といえば「枕草子」かもしれません。
「徒然なるままに…」の書き出しで始まるこの随筆文の魅力は、一千年以上経った今も変わることがありません。
個人的にこの随筆という言葉からは「人間的」「ストーリー性」という言葉を想起しますが、まさにこれがブログの面白さだと思います。
ただストーリーとして面白いだけでなく、そこに書き手の人間臭さが相まって魅力的な文章になるのではないでしょうか。
事象と心象の交わり
文章にも種類があります。
レポートや論文はある「事象」を伝えることを目的としていて、これに対して小説や詩は、書き手の中にある「心象」を文字を通して表現するものとされています。
そして著者である田中泰延さんは「事象と心象が交わるところに生まれるのが随筆」と述べています。
ただの事象を事実のままに整然と述べるだけの記事は役には立つかもしれませんが魅力ある文章とは言えません。
また、どこの誰でもないブロガーの心の内を描いたポエムを読みたいと思う人はそう多くはないでしょう。
ましてや読み手をうならせるようなストーリーを書き綴るのは簡単ではありません。
面白い記事を書くために
まずは事象と心象の区別をはっきりすることが大切です。
例えばランニングシューズのレビュー記事でも、ただシューズの機能性や数字を並べるだけならメーカーの公式サイトで事足ります。
そのシューズを履いてみて感じたことを「その人のありのままの言葉で」文章にして伝えることが大切です。文章力が拙いことさえ人間臭さの一つとして魅力になるかもしれません。
せめて書き手だけでも楽しもう
「事象と心象の交わり」を意識してみると、つい事象だけを整然と書こうとしたり、自分の中にあるものだけで記事を書こうとする傾向にも気づくことができます。
読んでいて書き手の人間味に触れることのできる記事には魅力があります。
少なくとも僕にとってはそれこそが「読みたいこと」なのだと思います。
読者の方がどう感じるかはともかく、せめて書き手として読みたいと思う文章を書いてブログを楽しんでいきたいですね。
今回はブログ初心者である僕なりにそのことを意識してこの記事を書いてみましたが、結果として執筆時間が短くなり、記事を書き切るまでの負担感やストレスも軽減されました。
自分の記事には魅力がないな…と感じて行き詰っているブロガーの方はぜひ、この「事象と心象の交わり」を意識してみてください。
書評として
最後に、本記事はいちおう「書評」と銘打っているので全体的な感想も述べておきます。
今回述べた「事象と心象」の部分はブログ執筆においてとても参考になりました。
また、文中にちりばめられた独特のユーモアはさすがプロと感じるところが多くそのセンスの高さと技術力を感じます。
全体の構成は「何のために、何を、誰に、どうやって、なぜ、いつ、どこで」書くのか、著者の考えが分かりやすくまとめられています。
でも基本的には職業ライターのための本という印象です。
たとえば「どう書くのか」の章では、図書館で一次情報を調べるとか、題材を愛するための作業が必要だとありますが、ブログのためにそこまでの労力は割けないよというのが正直な感想です。
とはいえ僕のようにライトなブロガーでも前半部分は十分参考になりますので、「書くこと」について掘り下げて考えたい方は手に取ってみることをおすすめします。
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